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NEWS(お知らせ)令和元年度学位記?修了証書授与式の式辞に代えて~キャンパス長メッセージ

2020年3月23日

旭川校の卒業生?修了生の皆さんへのメッセージ

 
 卒業生?修了生の皆さん、卒業?修了おめでとうございます。それぞれの課程を無事修了され、学位を得られましたことをこころよりお慶びを申し上げます。北海道教育大学旭川校の教職員を代表してお祝い申し上げます。
 この度は、学位記授与式を中止することになりましたこと、改めてお詫び申し上げます。新型コロナウィルス感染拡大防止ため、そして何よりも皆さんが社会人としての生活を順調にスタートできることを念じて取られた措置であることにご理解を賜り、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
 
 我々の社会は、他人に依存することなく自立することに高い価値を認めている社会です。教育においても、多くの学校の学校教育目標に「児童?生徒の自立」が掲げられているように、自立を目指した教育が行われています。しかし、今回の新型コロナウィルス感染症の拡大や近年頻発している自然災害による甚大な被害に対して、我々はいかに対処していくべきなのかを考えるとき、自立にばかり価値を見いだして、依存することを悪として切り捨ててしまうことの危うさに気づかされます。
 新型コロナウィルス感染症の世界規模での感染拡大に直面して、我々は、思いもよらない偶然に翻弄されざるを得ない人間の弱さや人間の能力の有限性を改めて実感させられています。自分の人生の目標をしっかりと見定めて、その目標を実現するために何が必要か綿密に検討を加え、必要な行動を着実に実行に移してきた多くの人々が、今回の感染症の拡大に伴って活動自粛を余儀なくされ、生活基盤を脅かされ、先行きの見えない不安にさらされています。どんなに主体的に生き、そして自立的に生きようとしても、意のままにならない現実に苦しめられ、思いもよらない事態に遭遇して「オロオロアルキ」生きることを余儀なくされるのが人間です。このように、人間は本来的に脆弱なものです。完全な自立は有限な存在である人間には不可能であり、自立には限界があるのです。別な言い方をすれば、曲がりなりにも自立が成立するためには、互いに支えあい、助け合う関係性が成立していることが不可欠の前提としてある、と言うことができます。あるいは、偶然のリスクは個人で引き受けることは不可能であり、皆で分かち合うことによって、はじめて乗り越えることができるものであると言うこともできます。自然災害後のボランティアの方々の活動は、このことを我々に教えてくれているように思います。今回の新型コロナウィルスをめぐる様々な出来事も、完全なる自立の不可能性と相互依存の不可避性を痛切に感じさせるものとなっています。
 こうした情勢の中で卒業?修了を迎えられる皆さんには、自分が自立した社会人として歩んでいけるよう努めるだけではなく、それを越えて、皆が自立して生きていくことができるために必要な相互の支えあい?助け合いを大切にする人生を歩んでいってもらいたいと切に願っています。また、相互の支えあいや助け合いを大切にする人々を育てる人になっていってもらいたいと思っています。
 旭川校の前身は旭川師範学校ですが、その旭川師範学校校歌の歌詞の中に「天を敬い人を愛で、至誠の徳を慕いつつ」という一節があります。ここに歌われている「敬天愛人」は、人間の有限性を自覚し、自らを絶対化してしまう過ちを避け、自分ひとりで何でもできるという驕りを捨てて(「敬天」)、互いに支えあい、助け合うことを大切にする(「愛人」)、そうした人のありかたを表現している言葉と解釈することもできると思います。こうした精神を大切にする旭川校で学んだことを誇りに思い、皆が共に幸せに生きることを目指すという大いなる志を抱いて、それぞれの道を明るく、そしてしなやかに歩んでいってください。
 
 最後に卒業生?修了生の皆さんの今後の一層の活躍と、益々の発展をこころから祈念いたしまして、皆さんへのメッセージといたします。
 
              令和2年3月23日
                北海道教育大学旭川校キャンパス長
                           千 葉 胤 久

 

 
 学長メッセージはこちらからご覧ください。
 


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