大学紹介学長 令和7年 新年のご挨拶
明けましておめでとうございます。令和7年の年頭に当たり、ご挨拶を申し上げます。我が国の高等教育と初等中等教育は、18歳人口の減少、生成AIの台頭をはじめ、様々な要因により大きな転換期を迎えています。そのような中、令和7年は、本学のプレゼンスを最大化すべく、教員養成の質の向上と地域貢献の推進、そして持続可能な大学経営を3本柱として、大学運営?経営に当たってまいります。このことに関わって、3点の抱負を述べたいと思います。
1点目は、教員養成の質の向上に大きく寄与する取組です。大阪教育大学、福岡教育大学と本学の3大学による博士後期課程「共同学校教育学専攻」が、いよいよ本年4月に誕生します*1。本学は、76年目の歴史の中で、学士、修士、教職修士、博士の全学位を授与可能な大学として新たな一歩を踏み出します。入試では5倍という高い志願倍率となり、この博士課程へのご期待を肌で感じました。本博士課程は、教育現場の課題解決を目指す「臨床的研究」を積み重ね、「学校教育学」と「教員養成学」の体系的構築を目指す日本初の大学院です。教員養成の拠点大学として、皆様のご期待に応えられるよう、全国の教育界をリードすべく尽力してまいります。
2点目は、地域貢献の推進についてです。本学は、文部科学省の「地域教員希望枠を活用した教員養成大学?学部の機能強化事業」に採択され*2、北海道教育委員会と連携した「北海道における地域協働型教師教育プログラム」を本格的にスタートさせます。特に、道央圏以外の教員不足の状況を踏まえ、まず釧路校で先行実施します。現在、令和8年度実施の入試の具体案とプログラムの全体像を鋭意検討しているところですが、今後、他キャンパスへの拡大も検討していきます。さらに、地域貢献の推進には、函館校(国際地域学科)と岩見沢校(芸術?スポーツ文化学科)の2学科の取組も重要です。〝教育学部の中の学科?の位置づけを改めて明確にし、北海道教育大学全体の機能強化に繋げていく所存です。
3点目は、持続可能な大学経営にも関わる最近の中教審の動向についてです。少子化を背景に、高等教育に係る中教審答申案では、国立大学における修士?博士課程への資源重点化と学部定員規模の適正化、大学間連携等を提案しています。教員養成についても、先月、文部科学大臣から中教審に諮問がありました。教員養成フラッグシップ大学の取組を勘案した教職課程の在り方や、より多くの学生が教員免許の取得を目指せる教員免許制度の在り方、教職課程を履修しなかった社会人等が大学院で教員免許を取得できる仕組みの構築などが諮問内容に含まれています。こういった国の動向を注視しつつ、令和5年度に設置した教員養成イノベーション機構と教員養成3キャンパス(札幌校?旭川校?釧路校)が連携して推進している「実践と理論の往還によるスパイラル型教員養成カリキュラム」の取組を加速化させ*3、本学らしい教員養成を追求してまいります。
最後に、本学では、高等教育や初等中等教育が大きな転換期を迎えつつある今、教員養成3キャンパスと学科2キャンパス、そして大学院や各センター並びに教員養成イノベーション機構が相互に補完?連携する「システムとしての北海道教育大学」という考え方を学内で共有し、本学の機能強化と価値創造を推進していくための議論を開始しました。一方、本学は、国立大学法人として、授業料収入等の自己収入に加えて運営費交付金という国民の皆様からの貴重な財源によって運営されている以上、本学の取組をより一層ご理解いただけるよう、ステークホルダーの皆様に向けた情報発信を強化していく必要性を強く感じています。その一環として、過日「統合報告書」*4並びに「取組事例集」*5を公開いたしました。本学の卒業生?修了生は、学校教員をはじめ様々な領域で地域社会を支えており、本学の教育?研究の受益者は、本学の学生だけでなく社会全体でもあります。いま各国立大学法人はインフレ下において大変厳しい財政状況にありますが、本学も例外ではありません。運営費交付金の重要性についてご理解をいただくため、今後も、本学の取組を分かりやすくお伝えする努力を続けてまいりますので、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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令和7年 年頭
国立大学法人北海道教育大学長 田 口 哲
*1 北海道教育大学?大阪教育大学?福岡教育大学の共同教育課程による博士後期課程の設置について
/academics/graduate/doctoral_course/index.html
*2 地域教員希望枠を活用した教員養成大学?学部の機能強化事業の選定結果(文部科学省HP)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/mext_02782.html
*3 本学のカリキュラムについて(実践と理論の往還を実質化させた教育課程の実現)
/innovation/efforts/curriculum.html
*4 北海道教育大学統合報告書2024
https://integrated-report.hokkyodai.ac.jp/
*5 北海道教育大学取組事例集
/intro/effort/practice.html