キャンパス紹介日本税理士会連合会による寄附講座(平成30年度?第4回)を開講しました
~これからの日本のために財政を考える~
平成30年10月25日,平成30年度第4回目となる日本税理士会連合会による寄附講座を開講しました。
当日は財務省北海道財務局旭川財務事務所?所長の今野光利氏をお招きして,「これからの日本のために財政を考える」と題した講義が行われました。
講義は「財政」についてのおさらいから始まりました。私たちが健康で豊かな生活を送るためには公共サービスが不可欠で,そのサービスを提供するために国民がお金を出し合っていく必要があるという基本事項の確認と,公共サービスの例として,学校で勉強するための教育費や国民が少ない負担で治療を受けられるようにするための医療費などを挙げられました。続けて,所得税や消費税などの数々の税の種類について,そして,国の一年間の収入である歳入と国の一年間の支出である歳出について説明いただきました。
また,国の予算について「社会保障の内訳」,「『社会保障』と「『国債費』以外の支出」の2点を取りあげて説明いただきました。社会保障の内訳としては「医療」や「年金」,「介護」,「生活保護」,「子ども?子育て」などがあることに加え,「地方交付税交付金等」や「公共事業」,「文教及び科学技術振興」,「防衛」,「食料安定供給」,「エネルギー対策」,「国際協力」などの歳出項目も取り上げていただきました。
次に,「一般会計」と「特別会計」についてお話がありました。国の会計において毎会計年度における国の施策を網羅して通観できるように,単一会計(一般会計)で一体として経理することが望ましいとされていますが,国の行政範囲が広範になり複雑化してくると,場合によっては単一会計では国の各個の事業の状況や資金の運営実績等が不明確となり,その事業や資金の運営に係る適切な経理が難しくなりかねないという理由で特別会計が設けられています。例えば,平成30年度の特別会計として「東日本大震災復興特別会計」が挙げられており,私たちの税金が震災復興に使われていることを改めて感じるとともに,税金の役割?意義について考えることができました。
講義は国の予算における公債金に移り,前回の講義で既に耳にしている「ワニの口」について説明いただきました。歳出増加と税収減少の差額が90年代後半以降大きく開き,それを視覚的に表現したものが「ワニの口」です。税収でまかなえない歳入不足分を,公債金収入で予算に毎年組み込み続けた結果として,平成30年度末の時点で国民一人あたり約700万円の借金を背負うことになるというお話があり,日本国民として現状をどのように打破していくべきなのかを早急に考える必要性を感じました。ここで,今野氏から国の予算に組み込まれているお金が,目視したときにどれほどの量になるのかという説明がありました。1万円を1兆円分積み重ねると厚さは約10㎞となり,本学旭川校から旭山動物園までの距離にあたるという説明がなされ,受講生の驚いている様子が見受けられました。
続いて,日本の財政が悪化してきた原因として社会保障費の大幅な増加が挙げられ,その大きな原因として高齢化があるということでした。これについては海外の国々との高齢化率の比較やそれに伴う社会保障費の増加についてのグラフによって日本の現状を知ることができました。また,この現状を打破するために社会保障と税の一体改革が行われています。具体的には子育て世代を含む全ての世代の社会保障の充実や消費税の増税,年金受給資格期間の短縮などです。また2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げについても,その増収分が「低所得者の介護保険料軽減」や「幼児教育の無償化」,「高等教育の無償化」などの実現に使われるという説明があり,消費税増税と私たちの生活のつながりについて考えることができました。
質疑応答では,①「日本がどのような程度に至ると経済破綻の危険性が出てくるのか」,②「なぜ日本はこんなにも借金が多いのか。これについて税収と公債費のバランスにおいて理想の国のモデルはどこなのか」という質問が挙げられました。①の質問については「一般的に,家計金融純資産より政府の債務が上回ると危ないと言われているが,そうならないように取り組むことが大事。」,②の質問については「公債費の増大は高齢化の進展と税収の減少が大きな理由。また,理想の国のモデルについては大きくは「高福祉?高負担」と「低福祉?低負担」の各政策に対する国内世論の理解と選択に係わると考えられる。北欧は社会福祉等が充実しているが,その分支払う税金等が多く,自分の所得を自由に使える幅が小さくなると言える。一方アメリカは可処分所得が多く,使途の自由度が高いが,自己の健康維持や災害において自己責任の場面が多い。以上のことからも日本国民がどうしたいのか,その考え方によって,国の税金や社会福祉の形は,今後日本にとって理想に近づくのではないか。」という応答がなされました。
本講義では,国の予算内訳や,日本の財政悪化の原因について詳細に説明いただき,受講生が日本の財政についてさらに深く知ることができたようでした。また,2014年4月から行われた消費税率8%への引き上げ,そして来年10月の消費税率10%への引き上げについて,それぞれ増えた税収の具体的な使い道について知ることができ,自分たちが払う税金と日本社会の係わりについて考えを深めることができました。
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当日は財務省北海道財務局旭川財務事務所?所長の今野光利氏をお招きして,「これからの日本のために財政を考える」と題した講義が行われました。
講義は「財政」についてのおさらいから始まりました。私たちが健康で豊かな生活を送るためには公共サービスが不可欠で,そのサービスを提供するために国民がお金を出し合っていく必要があるという基本事項の確認と,公共サービスの例として,学校で勉強するための教育費や国民が少ない負担で治療を受けられるようにするための医療費などを挙げられました。続けて,所得税や消費税などの数々の税の種類について,そして,国の一年間の収入である歳入と国の一年間の支出である歳出について説明いただきました。
また,国の予算について「社会保障の内訳」,「『社会保障』と「『国債費』以外の支出」の2点を取りあげて説明いただきました。社会保障の内訳としては「医療」や「年金」,「介護」,「生活保護」,「子ども?子育て」などがあることに加え,「地方交付税交付金等」や「公共事業」,「文教及び科学技術振興」,「防衛」,「食料安定供給」,「エネルギー対策」,「国際協力」などの歳出項目も取り上げていただきました。
次に,「一般会計」と「特別会計」についてお話がありました。国の会計において毎会計年度における国の施策を網羅して通観できるように,単一会計(一般会計)で一体として経理することが望ましいとされていますが,国の行政範囲が広範になり複雑化してくると,場合によっては単一会計では国の各個の事業の状況や資金の運営実績等が不明確となり,その事業や資金の運営に係る適切な経理が難しくなりかねないという理由で特別会計が設けられています。例えば,平成30年度の特別会計として「東日本大震災復興特別会計」が挙げられており,私たちの税金が震災復興に使われていることを改めて感じるとともに,税金の役割?意義について考えることができました。
講義は国の予算における公債金に移り,前回の講義で既に耳にしている「ワニの口」について説明いただきました。歳出増加と税収減少の差額が90年代後半以降大きく開き,それを視覚的に表現したものが「ワニの口」です。税収でまかなえない歳入不足分を,公債金収入で予算に毎年組み込み続けた結果として,平成30年度末の時点で国民一人あたり約700万円の借金を背負うことになるというお話があり,日本国民として現状をどのように打破していくべきなのかを早急に考える必要性を感じました。ここで,今野氏から国の予算に組み込まれているお金が,目視したときにどれほどの量になるのかという説明がありました。1万円を1兆円分積み重ねると厚さは約10㎞となり,本学旭川校から旭山動物園までの距離にあたるという説明がなされ,受講生の驚いている様子が見受けられました。
続いて,日本の財政が悪化してきた原因として社会保障費の大幅な増加が挙げられ,その大きな原因として高齢化があるということでした。これについては海外の国々との高齢化率の比較やそれに伴う社会保障費の増加についてのグラフによって日本の現状を知ることができました。また,この現状を打破するために社会保障と税の一体改革が行われています。具体的には子育て世代を含む全ての世代の社会保障の充実や消費税の増税,年金受給資格期間の短縮などです。また2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げについても,その増収分が「低所得者の介護保険料軽減」や「幼児教育の無償化」,「高等教育の無償化」などの実現に使われるという説明があり,消費税増税と私たちの生活のつながりについて考えることができました。
質疑応答では,①「日本がどのような程度に至ると経済破綻の危険性が出てくるのか」,②「なぜ日本はこんなにも借金が多いのか。これについて税収と公債費のバランスにおいて理想の国のモデルはどこなのか」という質問が挙げられました。①の質問については「一般的に,家計金融純資産より政府の債務が上回ると危ないと言われているが,そうならないように取り組むことが大事。」,②の質問については「公債費の増大は高齢化の進展と税収の減少が大きな理由。また,理想の国のモデルについては大きくは「高福祉?高負担」と「低福祉?低負担」の各政策に対する国内世論の理解と選択に係わると考えられる。北欧は社会福祉等が充実しているが,その分支払う税金等が多く,自分の所得を自由に使える幅が小さくなると言える。一方アメリカは可処分所得が多く,使途の自由度が高いが,自己の健康維持や災害において自己責任の場面が多い。以上のことからも日本国民がどうしたいのか,その考え方によって,国の税金や社会福祉の形は,今後日本にとって理想に近づくのではないか。」という応答がなされました。
本講義では,国の予算内訳や,日本の財政悪化の原因について詳細に説明いただき,受講生が日本の財政についてさらに深く知ることができたようでした。また,2014年4月から行われた消費税率8%への引き上げ,そして来年10月の消費税率10%への引き上げについて,それぞれ増えた税収の具体的な使い道について知ることができ,自分たちが払う税金と日本社会の係わりについて考えを深めることができました。
旭川財務事務所長の今野光利氏
「ワニの口」
「1兆円のイメージ」
受講の様子
(講義資料) 「これからの日本のために財政を考える」
財務省ホームページからダウンロード可能
https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/